食品製造・販売の株式会社マキ屋フーズは、2008年に沖縄県名護市で創業しました。本社を構える名護市は、手つかずの大自然が残る沖縄本島北部”やんばる(山原)”地域に位置します。この豊かな自然環境の中で、創業者の金城正直氏が確立した紅麹の培養技術を核に、地域食材の可能性を引き出した「新しいおいしさ」の創造に取り組んでいます。
今回、沖縄の伝統食材である紅麹に精通し、長年マキ屋フーズを支援してきた食品コンサルタント・照屋隆司氏(開発屋でぃきたん)の協力のもと、デザイン経営の手法を用いて「マキ屋の紅麹」ブランド構築プロジェクトを進めることになりました。
独自の価値を効果的に伝えるブランド戦略を
マキ屋フーズは、創業以来、やんばる地域の豊かな自然に育まれた地元食材を生かし、紅麹製品の製造・販売を手がけてきました。近年、消費者の健康志向が高まる中、独自の培養技術による高品質な紅麹を用いた商品開発に取り組んできたものの、その価値や企業理念を効果的に伝えることができていませんでした。
この課題を解決するため、独自の価値を「マキ屋の紅麹」と定義し、やんばるの自然がもたらす「安心感」と、沖縄で受け継がれてきた「伝統文化」を前面に打ち出すブランド戦略で、紅麹を用いた商品を消費者により親しみやすく届けることを目指しました。
ブランドコンセプトは「自然と伝統の賜物・紅麹発酵で、体も心も喜ぶおいしさを」
マキ屋フーズのブランド再構築にあたっては、経営層のお2人(金城正直氏・金城士朗氏)へのヒアリングを通じて、企業の強みと価値の本質を探求しました。
その結果、マキ屋フーズの核となる4つの強みとして、下記を抽出しました。
・独自の紅麹培養技術による自社一貫製造
・厳選された素材へのこだわり
・顧客視点に立ったものづくり
・安心安全で健康に配慮した製法
これらの強みを統合し、企業のミッションとして「究極の紅麹づくりで新しいおいしさを届ける」を設定。さらに、ターゲット顧客のペルソナ分析を踏まえ、マキ屋フーズ独自の価値を伝えるブランドコンセプトを「自然と伝統の賜物・紅麹発酵で、体も心も喜ぶおいしさを」と定義しました。
地域の人々の願いが込められた紅麹
中国から伝来した紅麹は、18世紀には琉球王府の料理人たちの手によって「豆腐よう」という伝統的な高級食材へと昇華されました。
1980年代に入ると、琉球大学の安田正昭教授が紅麹菌の培養技術を確立。この技術を民間企業へ移転することで、沖縄の新たな地域産業として発展を目指す挑戦が始まりました。研究成果の産業化に向けて、地域の経済人が沖縄の未来を担う重要な産業として力を入れてきたのです。
そして今、この貴重な伝統と培養技術の継承者として、マキ屋フーズが沖縄の紅麹文化をつなぐ重要な存在となっています。
ブランドツールとビジュアルの刷新
消費者調査から「自然由来」「安心安全」というキーワードが多く出ていたことから、ブランドデザインも「自然由来の安心感」を伝えるデザインを施し、「沖縄伝統食文化を受け継ぎ、自社培養で生きた紅麹を使用した食品づくり」を消費者へ訴求していくことになりました。
新たなブランドコンセプトに基づき、以下のツールを作成しました。
ブランド運用ガイドとイラストの作成:ブランド運用ガイドを作成し、紙媒体やウェブでの展開に対応するロゴカラーを規定。また、紅麹や沖縄の象徴的な要素を取り入れたイラストも新たにデザインし、ブランドの親しみやすさと信頼性を高めています。
「マキ屋フーズ」のビジュアル:ブランドの世界観を伝えるため、2つの重要な要素に焦点を当てた撮影を実施しました。
・手つかずの自然が残るやんばるの地で、マキ屋フーズが紅麹づくりに取り組む姿。その息づく環境を切り取るため、自然写真に定評のあるカメラマンを起用。
・安心安全はもちろん、「おいしさ」という価値を伝える商品写真。料理撮影のスペシャリストによって、紅麹製品の魅力を存分に引き出しています。
ブランドサイトの制作:「マキ屋の紅麹」のブランド価値とともに、その背景にあるストーリーやこだわりを消費者に伝える新しいブランドサイトを制作しました。紅麹の歴史や成分解説、製品の紹介、さらには紅麹を活用したレシピなど、多様なコンテンツを通じて「マキ屋の紅麹」の魅力を発信しています。
マキ屋フーズブランドサイト
ブランドブックの作成:営業活動の際に使用されるブランドブックも制作。商品やブランドストーリーをビジュアルと言葉で伝えています。
SNS戦略と消費者へのアプローチ
SNSを活用したマーケティング戦略も導入し、InstagramやFacebookを中心に、「マキ屋の紅麹」製品やその活用レシピを定期的に投稿。特に、人気商品の1つ「紅濱の唐芙蓉(とうふよう)」と、紅麹を使った健康的な簡単レシピの紹介が消費者から高い評価を得ました。現在も継続的にSNSを運用することで、ブランド認知度の向上とターゲット層の拡大が図られています。
マキ屋フーズの公式Instagram
マキ屋フーズの公式Facebook
制作スタッフ
【全体監修・ブランドブック制作】デザインイノベーションおきなわ
【サイト構築】株式会社マバタキ(mabataki)
【写真】ロケ撮影:大城亘氏/商品・レシピ撮影:根原奉也氏